みえの感染症ガイドブック
RSウイルス感染症:5類感染症:定点把握疾患
(Respiratory syncytial virus infection)
病原体  RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)
 (パラミクソウイルス科ニューモウイルス亜科ニューモウイルス属)
好発年齢  乳幼児(特に0〜2歳)
分布 ○RSV感染症は世界中に存在し、地理的あるいは気候的な偏りはないが、特徴的なことは、いずれの地域においても幼弱な乳幼児で大きなインパクトがあることと、毎年特に都市部において流行を繰り返すことである。
○流行は通常急激な立ち上がりをみせ、2〜5か月間持続するが、温帯地域においては冬季にピークがあり、初春まで続く。本邦においても、11〜1月にかけての流行が報告されている。熱帯地域では雨期に流行を見ることが多い。
性差  特になし
好発時期  11月〜4月で、流行のピークは12月
県内における発生状況

定点医療機関当たり患者報告数の推移

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※本疾患は2003年第45週から法対象疾患として全国で届け出されるようになったもので、三重県の2003年は、独自調査により第1〜44週に小児科45定点医療機関から報告された3歳未満の患者数を含む。

感染経路 ○RSVは環境中では比較的不安定ではあるものの、特に家族内では効率よく感染伝播することが知られており、乳幼児とより年長の小児のいる家族の場合には、流行期間中に家族の44%が感染したとする報告もある。概ね家族内に持ち込むのは、軽症の上気道炎症状を来した学童年齢の小児である。
○感染経路としては大きな呼吸器飛沫と、呼吸器からの分泌物に汚染された手指や物品を介した接触が主なものであり、特に濃厚接触を介して起こる。
潜伏期間  潜伏期は2〜8日、典型的には4〜6日とされている。
感染期間  通常7〜12日で、入院例では3〜4日で改善するが、ウイルスの排泄は持続する。
症状 ○RSVの初感染は常に顕性であるが、軽症の感冒様症状から重症の細気管支炎や肺炎などの下気道疾患に至るまで様々である。
○初感染においては下気道疾患を起こす危険性が高く、69%の乳児が生後最初の一年間でRSVに罹患する。そのうちの1/3が下気道疾患を起こすと報告されている。2年目から4年目においても下気道疾患を起こす比率は20%を超え、無視できるものではないが、その重症度は年齢を追うごとに減弱する。
○乳幼児期早期には肺炎と細気管支炎が多いが、徐々に気管支炎の病態を呈するものが増加してくる。
○初感染の病像として、上気道炎や気管支炎の場合でも、症状は比較的強い。特に1歳以下では、中耳炎の合併がよくみられる。生後4週未満ではRSV感染の頻度は低いが、罹患した際には呼吸器症状を欠く非定型な症状をとることが多く、診断の遅れにつながる。この年齢では、突然死につながる無呼吸が起きやすいことも報告されており、注意が必要である。
感染予防
感染管理
○現在利用可能な予防方法としては、ヒト血清由来の抗RSV免疫グロブリンと、遺伝子組み換え技術を用いて作製された、RSV表面蛋白の一つであるF(Fusion)蛋白に対するモノクローナル抗体製剤であるパリビズマブ(Palivizumab)がある。後者は日本においても、2001年1月に承認された。これは、RSV流行開始前から流行期の間、1回15mg/kgを1か月毎に筋注することにより、予防効果が期待できる。
○院内感染は、主に患者との濃厚接触や分泌物に汚染された表面への接触によるため、予防には標準予防策と接触感染予防策が推奨される。可能であれば、患者の隔離とスタッフのコホーティングも有用である。ガウンとマスクの使用は対照研究では、厳重な手洗いに勝る効果は証明されていないが、院内感染率を低下させるとする報告もある。しかしながら、RSVは鼻および眼からも感染すると考えられており、通常の鼻と口を覆うマスクでは限られた効果しかな いとされる。
詳細情報  国立感染症研究所感染症情報センター:感染症の話へ

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