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流行性角結膜炎

 流行性角結膜炎は、大きな流行がみられた1980年代から90年代までは6月中旬から下旬にかけて増え始め、7月下旬から8月下旬をピークとした季節性がみられましたが、近年は、かつてのような明瞭な季節性がみられなくなってきています。また、患者は概して1〜5歳を中心とする小児が多いですが、成人も含め幅広い年齢層での発生がみられます。
 三重県では、1984年から1985年にかけて大きな流行がありましたが、県内でも地域によって発生状況が異なり、局所的な流行を示す傾向がみられます。また、近年の患者発生動向を眼科定点医療機関(県内12定点)から届出された患者数(定点当たりの年間患者数)でみると、2005年夏季に大きな流行がありましたが、2006年以降は比較的低い水準となっています。
 2018年9週(2月26日〜3月4日)現在の定点当たり週間患者数は0.0人(0人/12定点)と少数ですが、引き続き以下のことに注意し感染予防に努めましょう。

流行性角結膜炎は、患者の目に触れた手、目脂や涙などの分泌物を介して感染します。患者本人は、目に触れない、目に触った手は石鹸と流水でよく洗う、目脂はティッシュペーパーなどで拭いて捨てる等に注意し、周囲の人は、手を石鹸と流水でよく洗い、タオルなどを患者と共用しない等に注意しましょう。

保健所別・週別患者届出数を見る



学校等欠席者システムによる保健所管内別欠席者報告数

国立感染症研究所感染症疫学センター
全国の流行性角結膜炎定点当たり患者届出数(最新情報)
国立感染症研究所のホームページより


都道府県別・今週の届出数/定点当たり届出数


流行性角結膜炎患者からのウイルス分離状況(IASR)

流行性角結膜炎(Epidemic Keratoconjunctivitis:EKC)ってどんな病気?

1 流行性角結膜炎とは…?

 流行性角結膜炎は、主にD群のアデノウイルスによる感染症で、主として手を介した接触によって感染します。約1〜2週間の潜伏期間を経て、急性ろ胞性結膜炎から発症します。結膜の浮腫や充血、眼瞼の浮腫が強く、流涙や眼脂を伴うほか、耳前リンパ節の腫脹と圧痛を来たします。角膜に炎症が及ぶとび慢性表層角膜症がみられ、異物感、眼痛を訴えることがあり、偽膜を伴う例も多くみられます。多くは発病後2〜3週間で治癒します。
 潜伏期は8〜14日で、急に発症し、眼瞼の浮腫、流涙を伴います。感染力が強いため両側が感染しやすいが、初発眼の方が症状が強く、耳前リンパ節の腫脹を伴い、角膜に炎症が及ぶと透明度が低下、混濁は数年に及ぶことがあります。時に結膜炎が出血性となり出血性結膜炎(EV70,CA24変異株による)や、咽頭結膜熱(PCF)との鑑別を要することがあります。その他、眼疾患を惹起するヘルペス、クラミジアとの鑑別が必要な場合もあります。新生児や乳幼児では偽膜性結膜炎を起こし、細菌の混合感染で角膜穿孔も起こす場合があり注意が必要です。

2 流行疫学

 以前は、本疾患患者を扱った眼科医や医療従事者などからの感染が多く見られましたが、現在では、職場、病院、家庭内などの人が濃密に接触する場所などでの流行的発生もみられます。アデノウイルスは、種々の物理学的条件で抵抗性が強いためその感染力が強く、19世紀後半、ドイツの労働者の間で流行したことが記載されています。その後、米国で"shipyard eye"と呼ばれる眼疾患が流行しましたが、造船所の労働者が眼の外傷治療の際、医原病的に広がったものと考えられています。
 今日、我が国では、全国的にEKCがみられますが、年度によりD群の8、19、37型のいずれかの流行となっています。まれにB群の11型、E群の4型も病因となります。感染は、眼疾患患者との接触により起こります。病院の医師、看護師、さらに職場や家庭などで、ウイルスにより汚染されたテッシュペーパー、タオル、洗面器などに触れるなどして感染します。血清学的調査で、日本の子供の8型に対する抗体保有率は20%未満、19、37型は10%程度と報告されています。

図1,アデノウイルス8型による結膜炎(青木功喜撮影)

3 治療と予防

 アデノウイルス全般について有効な薬剤はありません。対症療法的に抗炎症剤の点眼を行い、さらに角膜に炎症が及び、混濁がみられる場合は、ステロイド剤を点眼します。細菌の混合感染の可能性に対しては、抗菌剤の点眼を行います。眼疾患患者の分泌物の取扱いと処分に注意し、手洗い、消毒をきちんと行います。点眼瓶類がウイルスで汚染されないように注意し、汚染された病院内の器具類はオートクレーブで滅菌するか、アルコール、ヨード剤などで消毒します。予防の基本は接触感染予防の徹底です。

引用(参考)文献

NIID 国立感染症研究所 IDWR感染症の話

医師からの都道府県知事等への届出のための基準