先天性風疹症候群の発生防止
(風疹流行による先天性風疹症候群発生の懸念)

平成16年4月9日
厚生労働省報道発表
(以後流行状況を最新情報に更新)

1.風疹の流行状況
 以前はほぼ5年ごとの周期で風疹の流行が発生していたが、予防接種法の改正に伴い乳幼児に広く予防接種が実施されるようになった平成6年以降、 平成15年まで大流行の発生は抑制されてきた。しかしながら、平成16年になって、一部の地域(鹿児島県、群馬県、大分県、宮城県、埼玉県)において患者が多発した。
 その結果、平成11〜15年の5年間は年間0〜1例の発生件数であった先天性風疹症候群(CRS)の患児が、平成16年(平成15年12月29日〜平成17年1月2日の53週)は10例(東京3例、岡山2例、鹿児島、神奈川、熊本、長野、大分各1例:詳細情報はIDWR2004年52・53合併週報に増加した 。
 
また、平成17年2例(大阪、愛知)、21年1例(長野)の報告があった。
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2.厚生労働省の対応
 感染症発生動向調査の週報では、風疹の流行状況を取り上げ、小児科だけでなく、特に妊婦や妊娠年齢の女性の管理を行う産科や婦人科において細心の注意を払う必要性につき、注意喚起を行ってきた。
 今後とも引き続き、日本医師会や日本産婦人科医会等と協力して、国民へ注意喚起を行うとともに、特にこれから妊娠する予定のあるワクチン未接種かつ風疹罹患歴のない女性に対し、予防接種を勧奨していくこととしている。
(参考)風疹ワクチンの接種状況
 平成6年の予防接種法改正に伴い、予防接種の対象者が中学生女子から生後12〜90ヶ月の男女に変更された。
 接種対象者変更に伴う経過措置として、「昭和54年4月2日から昭和62年10月1日生まれの男女」には、平成7年4月から平成15年9月まで接種期間が確保された。
 しかし、当該経過措置対象者(現在16歳〜24歳の年齢層)を中心に、接種率が低い年齢層が存在している。
 このため、経過措置終了後も、先天性風疹症候群の発生を防止する観点から、未接種者に対し予防接種を勧奨している。

風疹とは

 風疹ウイルスに感染してから14〜21日の潜伏期間の後、発熱とともに全身に淡い発疹が出現する。通常3日程度で消失し、麻しん(はしか)のように発 しんのあとが長く残ることはない。一般に三日ばしかとも呼ばれている。発熱は麻疹のように高熱が続くことは少なく微熱程度で終わることも多くある。またその他の症状としては耳の後ろや頚部あるいは後頭下部のリンパ節が腫れることも特徴である。通常は数日で治癒するが、稀には、血小板減少性紫斑病や脳炎などの重篤な合併症を併発することがある。また、感染しても無症状のもの(不顕性感染者)が約15%存在するといわれており、発熱、発 しん、リンパ節腫脹がすべてそろわない場合もある。上気道粘膜より排泄されるウイルスが飛沫を介して伝播されるが、その伝染力は麻疹、水痘よりは弱い。ウイルスの排泄期間は発 疹出現の前後約1週間とされているが、解熱すると排泄されるウイルス量は激減し、急速に感染力は消失する。 かつてはほぼ5年ごとの周期で、風疹の全国的流行が発生していたが、平成6年以降は大流行はなく、局地流行や小流行に留まっている。
三重県・全国における風疹の発生状況

先天性 風疹症候群(congenital rubella syndrome: CRS)とは

 妊娠初期の女性が風疹に罹患すると、風疹ウイルスが胎盤を介して胎児に感染し、出生児が先天性風疹症候群を発生することがある。妊娠中の感染時期により重症度、症状が異なるが、妊娠2カ月以内の女性が 風疹にかかると、出生児は白内障、先天性の心臓病、難聴の2つ以上を持って生まれてくることが多い。妊娠3〜5カ月に感染した場合でも難聴が多くみられる。その他、子宮内での発育が遅い、網膜の病気、緑内障、小頭症、髄膜炎、精神運動発達に遅れがある、肝臓や脾臓が腫れる、血小板減少性紫斑病などの症状が出生児に認められる場合がある。先天性風 疹症候群に対するウイルス特異的な治療法はなく、個人防衛として女性は妊娠する前にワクチンによって風疹に対する免疫を獲得すること、社会防衛としては風疹ワクチンの接種率を上げることによって 風疹の流行そのものを抑制し、妊婦が風疹ウイルスに曝露されないようにすることが重要である。日本では、昭和40年に沖縄で400人以上の先天性風疹症候群の児が出生した。また、昭和52年から54年には全国的な風 疹大流行があり、先天性風疹症候群患児の出産を恐れて、多くの人が人工妊娠中絶を行った。最近では、平成11年の報告患者数は0名、平成12年から15年までは毎年1名の患児が報告されている。
医師から都道府県知事への届出基準 ( 風疹 ・ CRS

参考文献

全国感染症発生動向調査週報(IDWR),感染症の話(2001年第29週報),国立感染症研究所感染症情報センター

全国感染症発生動向調査週報(IDWR),感染症の話(2002年第21週報),国立感染症研究所感染症情報センター

病原微生物検出情報,Vol.24,No3(2003),国立感染症研究所他