先天性風疹症候群の発生防止
(風疹流行による先天性風疹症候群発生の懸念)

平成16年4月9日
厚生労働省報道発表
(以後流行状況を最新情報に更新)
最終更新日:平成26年10月10日

1.風疹の流行状況
 以前はほぼ5年ごとの周期で風疹の流行が発生していたが、予防接種法の改正に伴い乳幼児に広く予防接種が実施されるようになった平成6年以降、 平成15年まで大流行の発生は抑制されてきた。しかしながら、平成16年になって、一部の地域(鹿児島県、群馬県、大分県、宮城県、埼玉県)において患者が多発した結果、平成11〜15年の5年間は年間0〜1例の発生件数であった先天性風疹症候群(CRS)の児が、平成16年は10例(東京3例、岡山2例、鹿児島、神奈川、熊本、長野、大分各1例:詳細情報はIDWR2004年52・53合併週報に増加した。その後は平成17年2例(大阪、愛知)、平成21年2例(長野他)、平成23年1例(群馬)報告された。
 平成24年は関西、関東地方(大阪、兵庫、東京、神奈川など大都市圏)を中心に風疹の流行が発生し、CRSの児が4例(兵庫2例、香川、埼玉各1例)報告された。
 平成25年は風疹が大流行し、全国で32例(栃木1例、埼玉3例、千葉1例、東京13例、神奈川3例、愛知2例、三重2例、大阪5例、和歌山2例)報告された。
 平成26年に入り、全国で9例(福島1例、千葉1例、東京3例、新潟1例、大阪1例、兵庫1例、島根1例)報告されている。
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2.厚生労働省の対応
 感染症発生動向調査の週報では、風疹の流行状況を取り上げ、小児科だけでなく、特に妊婦や妊娠年齢の女性の管理を行う産科や婦人科において細心の注意を払う必要性につき、注意喚起を行ってきた。
 今後とも引き続き、日本医師会や日本産婦人科医会等と協力して、国民へ注意喚起を行うとともに、特にこれから妊娠する予定のあるワクチン未接種かつ風疹罹患歴のない女性に対し、予防接種を勧奨していくこととしている。
(参考)風疹ワクチンの接種状況(IASR Vol.32 No.9(No.379)参照)
 1977年に、CRS予防を目的として女子中学生に風疹の定期接種が始まったが、1995年から風疹流行の抑制を目的として生後12カ月以上90カ月未満の男女と男女中学生が定期接種の対象となった。2006年度から、麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)による2回接種(第1期:1歳、第2期:小学校入学前1年間の5〜6歳)が始まり、2008〜2012年度の5年間の経過措置として、第3期(中学1年相当年齢の者:12〜13歳)と第4期(高校3年相当年齢の者:17〜18歳)にMRワクチンによる2回目の接種機会が追加された。

風疹とは

 風疹ウイルスに感染してから14〜21日の潜伏期間の後、発熱とともに全身に淡い発疹が出現する。通常3日程度で消失し、麻しん(はしか)のように発 しんのあとが長く残ることはない。一般に三日ばしかとも呼ばれている。発熱は麻疹のように高熱が続くことは少なく微熱程度で終わることも多くある。またその他の症状としては耳の後ろや頚部あるいは後頭下部のリンパ節が腫れることも特徴である。通常は数日で治癒するが、稀には、血小板減少性紫斑病や脳炎などの重篤な合併症を併発することがある。また、感染しても無症状のもの(不顕性感染者)が約15%存在するといわれており、発熱、発 しん、リンパ節腫脹がすべてそろわない場合もある。上気道粘膜より排泄されるウイルスが飛沫を介して伝播されるが、その伝染力は麻疹、水痘よりは弱い。ウイルスの排泄期間は発 疹出現の前後約1週間とされているが、解熱すると排泄されるウイルス量は激減し、急速に感染力は消失する。 かつてはほぼ5年ごとの周期で、風疹の全国的流行が発生していたが、平成6年以降は大流行はなく、局地流行や小流行に留まっていた。

先天性 風疹症候群(congenital rubella syndrome: CRS)とは

 妊娠初期の女性が風疹に罹患すると、風疹ウイルスが胎盤を介して胎児に感染し、出生児が先天性風疹症候群を発生することがある。妊娠中の感染時期により重症度、症状が異なるが、妊娠2カ月以内の女性が 風疹にかかると、出生児は白内障、先天性の心臓病、難聴の2つ以上を持って生まれてくることが多い。妊娠3〜5カ月に感染した場合でも難聴が多くみられる。その他、子宮内での発育が遅い、網膜の病気、緑内障、小頭症、髄膜炎、精神運動発達に遅れがある、肝臓や脾臓が腫れる、血小板減少性紫斑病などの症状が出生児に認められる場合がある。先天性風 疹症候群に対するウイルス特異的な治療法はなく、個人防衛として女性は妊娠する前にワクチンによって風疹に対する免疫を獲得すること、社会防衛としては風疹ワクチンの接種率を上げることによって 風疹の流行そのものを抑制し、妊婦が風疹ウイルスに曝露されないようにすることが重要である。日本では、昭和40年に沖縄で400人以上の先天性風疹症候群の児が出生した。また、昭和52年から54年には全国的な風 疹大流行があり、先天性風疹症候群患児の出産を恐れて、多くの人が人工妊娠中絶を行った。
医師から都道府県知事への届出基準 ( 風疹 ・ CRS

先天性風疹症候群に関するQ&A (国立感染症研究所:2013年9月)

風疹流行および先天性風疹症候群の発生に関するリスクアセスメント
 (国立感染症研究所:平成25年7月16日)

風疹流行および先天性風疹症候群の発生に関するリスクアセスメント第二版
 (国立感染症研究所:平成25年9月30日)

参考文献

全国感染症発生動向調査週報(IDWR),感染症の話(2001年第29週報),国立感染症研究所感染症情報センター

全国感染症発生動向調査週報(IDWR),感染症の話(2002年第21週報),国立感染症研究所感染症情報センター

病原微生物検出情報,Vol.24,No.3(2003),国立感染症研究所他

病原微生物検出情報,Vol.32,No.9(2011),国立感染症研究所他