(1)インフルエンザ
2000年の報告数は17,774人であった。三重県、全国ともに1999年12月下旬に流行が始まり、1月下旬から2月上旬にかけてピークがみられた。県内では全ての保健所管内で同程度の報告がみられ、年齢別では1999年は20〜39歳代の報告数が多かったが、2000年は1〜14歳の幼児、学童を中心とした報告であった。今シーズン、2000年12月時点では、まだ流行の兆しは認められていない。
(2)咽頭結膜熱
2000年の報告数は304人であり、1999年に比較し若干名の増加であった。7月から9月にかけて流行が見られ、全国では比較的大きな流行となったが、三重県ではそれほど大きな流行とはならなかった。保健所管内別では、尾鷲、上野、松阪からの報告が目立った。年齢別では1〜5歳の就学前の幼児を中心とした報告であった。
(3)感染性胃腸炎
2000年の報告数は21,173人であり、1999年に比較し、春季はやや患者数が多く、冬季は少なかった。三重県、全国ともに11月から翌年4月にかけて報告数が多くなった。保健所管内別では、尾鷲、鈴鹿からの報告が目立った。年齢別では1〜4歳の幼児を中心とした報告であった。
(4)手足口病
2000年の報告数は3,766人であり、1999年に比較し大幅に増加した。三重県、全国ともに比較的大きな流行となり、6月をピークに5月から8月にかけて報告数が多く、後述する無菌性髄膜炎の多発時期と重なる傾向を示した。また、2000年は例年と異なり9月以降も小規模な発生が続いた。保健所管内別では、上野、尾鷲、熊野からの報告が目立った。年齢別では1〜5歳の幼児を中心とした報告であった。
(5)麻疹
2000年の報告数は241人であり、極めて少数であった1999年に比較すると多数例の報告となった。三重県、全国ともに報告数のピークは5月であった。保健所管内別では、津、松阪、伊勢、上野からの報告が主であり、年齢別では6か月〜1歳の乳児を中心とした報告であった。また、小児科定点からの報告にもかかわらず、10〜19歳、20歳以上の患者発生が目立った。基幹定点からの報告となる成人麻疹は年間で4人であった。
(6)流行性耳下腺炎
2000年の報告数は2,848人であり、1999年に比較するとほぼ倍の報告であった。三重県、全国ともに例年に比べ比較的大きな流行となっており、10月以降漸増傾向がみられた。保健所管内別では、鈴鹿、伊勢、尾鷲からの報告が目立ち、特に伊勢管内では年末も多発傾向が続いている。年齢別では3〜6歳の幼児を中心とした報告であった。
(7)流行性角結膜炎
2000年の報告数は379人であり、1999年に比較すると夏季の報告数が多くなった。全国では1999年と同程度の報告数であった。保健所管内別では、尾鷲、熊野で夏季に多くの患者発生がみられ、伊勢では年間を通しての発生がみられた。年齢別では20歳以上の成人を中心とした報告であった。
(8)無菌性髄膜炎
2000年の報告数は112人であり、1999年に比較するとほぼ倍の報告であった。三重県、全国ともに5月から8月にかけて報告数が多く、前述の手足口病の発生動向と同様の傾向を示した。保健所管内別では、1999年と同様6割が鈴鹿、2割が伊勢からの報告であった。年齢別では1〜14歳の幼児、学童を中心とした報告であった。
(9)性器ヘルペスウイルス感染症
2000年の報告数は、80人(男43人、女37人)であり、三重県、全国ともに1999年と同程度であった。性別では、全国では女性が多く、三重県では男性が多い傾向がみられた。保健所管内別では、四日市、鈴鹿、上野からの報告が多く、特に、3月に20人(男2人、女18人)と四日市、鈴鹿を中心に多数の報告があった。年齢別では、15〜70歳以上までの広い層での報告があり、1〜4歳でも2人の報告がみられた。
(10)メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症
2000年の報告数は、751人であり、1999年に比較すると三重県、全国ともにやや多い発生報告であった。ただし、三重県での定点あたり患者数は、1999年、2000年とも全国に比べ倍程度の報告となっている。保健所管内別では、松阪からの報告数が多いことが目立った。年齢別では、70歳以上を中心とした報告であった。