A群溶血性レンサ球菌咽頭炎

学校等欠席者・感染症情報システム

最近20開校(園)日の欠席者推移(単位は在籍者数1,000人あたりの欠席者数)



保健所管内別
最近10開校(園)日のA群溶血性レンサ球菌咽頭炎欠席者数

(在籍者数1,000人あたり)

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎
  桑名 四日市市 鈴鹿 松阪 伊勢 伊賀 尾鷲 熊野
2024-04-15 0.22 0.17 0.37 0.14 0.21 0.20
2024-04-16 0.59 0.24 0.14 0.20 0.69 0.29 1.93
2024-04-17 0.34 0.27 0.16 0.25 0.53 0.18 0.37 0.56
2024-04-18 0.28 0.19 0.85 0.18 0.42 0.18 0.81 3.36
2024-04-19 0.21 0.29 0.23 0.13 0.62 0.65 0.57 1.20
2024-04-22 0.25 0.07 0.35 0.19 0.37 0.59
2024-04-23 0.34 0.18 0.25 0.27 0.15 0.65 0.17 4.44
2024-04-24 0.59 0.28 0.17 0.39 0.60 0.93 0.33 5.44
2024-04-25 0.55 0.31 0.31 0.61 0.45 1.01 0.36 7.04
2024-04-26 0.81 0.26 0.52 0.37 0.37 0.89 0.19 4.85 1.20

予防啓発用パンフレット(クリックすると別窓で開きます)

感染症発生動向調査

感染症発生動向調査による患者届出状況(定点医療機関から報告された患者報告数)
 警報レベル(赤色実線)を超えた場合、大きな流行が発生または継続していることが疑われ、注意報レベル(赤色破線)を超えた場合は、大きな流行が発生する可能性がある又は流行が終息していない可能性が疑われます。これらはあくまで流行状況の指標であり、都道府県として発令される「警報」とは異なります。
過去5年間との患者報告数の比較
本年の定点あたり患者報告数が赤色折れ線を越えているときは、過去5年間と比較して報告数がかなり多いことを示しています。(過去5年間の平均:当該週とその前後の週の計15週分の平均、SD:標準偏差)

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎って、どんな病気?

1 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは・・・?

 原因となるA群溶血性レンサ球菌は一般的によく見られるグラム陽性球菌で、多彩な臨床症状を引き起こします。感染すると通常 1~4日の潜伏期を経て、突然の発熱(38.5℃以上)と全身倦怠感、咽頭痛、嘔吐などで発症します。他の上気道炎に比べて咳や鼻汁は軽度ですが、咽頭、扁桃粘膜に著明な発赤を認めるほか、頚部リンパ節の腫脹が高頻度にみられます。特殊な病型として猩紅熱があり、軟口蓋の小点状出血あるいは苺舌がみられることがあります。合併症として、肺炎、髄膜炎、敗血症などの化膿性疾患、あるいはリウマチ熱、急性糸球体腎炎などの非化膿性疾患を生ずることもあります。

2 流行疫学

 本疾患はいずれの年齢でも起こりますが、学童期に最も多く、3歳以下や成人では典型的な臨床像を呈する症例は少なくなっています。一般的に秋から冬にかけてが流行期とされていますが、感染症発生動向調査のデータから、春から初夏にかけても患者数の増加がみられています。近年報告数が増加する傾向にありますが、キットの普及などで診断技術が向上したことによる影響も考えられます。潜伏期での感染性については不明ですが、通常患者との接触を介して伝搬するため、ヒトとヒトとの接触の機会が増加するときにおこりやすくなる疾患です。

3 予防と発生時の対策

 治療にはペニシリン系薬剤が第1選択薬として使用されますが、アレルギーがある場合にはエリスロマイシンが適応されます。また第1世代のセフェムも使用可能です。いずれの薬剤もリウマチ熱、急性糸球体腎炎など非化膿性の合併症予防のために、少なくとも10日間は確実に投与することが必要となります。除菌が思わしくない例では、クリンダマイシン、アモキシシリン/クラブラン酸、あるいは第2世代以降のセフェム剤も使用されることがあります。
 予防としては、うがい、手洗いなどの一般的な予防法の励行はもちろん、患者との濃厚接触をさけることが最も重要です。集団発生などの特殊な状況では接触者に対して咽頭からの菌検出を行い、陽性であれば治療を行う必要があります。

引用・参考文献

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは(国立感染症研究所)
医師からの都道府県知事等への届出のための基準