ヘルパンギーナ
ヘルパンギーナは、例年5月中旬から下旬にかけて患者数が増え始め、7月をピークに流行が見られる夏型感染症です。
三重県では、2005年にピークが定点当たり週間患者数17.78人となる前例のない大きな流行がみられ、2007年(同10人)、2015年(同11.8人)にも大きな流行がみられました。
コロナ禍を経た2023年は、ピークが同12.47人と、2005年に次ぐ規模で、全国的にも大流行しました。2024年は比較的小規模で、第23週~28週にかけて同2人を超える流行が続きましたが、第29週以降は減少しました。
三重県の2024年第48週 11月25日(月)~12月1日(日)の定点当たり患者数は0人となっています。
この疾患は、感染者の鼻汁や便などの排泄物や、咳などの飛沫から、経口的に人にうつるため、手洗いやうがいを励行し、日常的に清潔を保つように心がけましょう。
<保健所管内別定点あたり届出数>
警報レベルを超えた場合、大きな流行が発生または継続していることが疑われる、注意報レベルを超えた場合は、大きな流行が発生する可能性がある又は流行が終息していな可能性が疑われます。これらはあくまで流行状況の指標であり、都道府県として発令される「警報」とは異なります。
報告数の過去5年間の報告数との比較
本年の定点あたり報告数が、赤色折れ線を超えているときは、過去5年間と比較してかなり報告数が多いことを示しています。(過去5年間の平均:当該週とその前後の週の計15週の平均)
全国のヘルパンギーナ定点当たり患者届出数(最新情報)
国立感染症研究所のホームページより
ヘルパンギーナって、どんな病気?
1 ヘルパンギーナとは・・・?
口峡部に特有の小水疱と発熱を主症状とする急性のウイルス感染症で、初夏から秋にかけてみられる夏かぜの一種です。突然の発熱(38~40℃)に続いて咽頭粘膜の発赤が著明となり、口腔内(主として軟口蓋から口蓋弓にかけて)に直径1-2mm(大きいものでは5mmほど)の紅暈で囲まれた小水疱が出現します。小水疱はやがて破れ浅い潰瘍を形成し、疼痛を伴う。2-4日間程度で解熱し、それにやや遅れて粘膜疹も消失します。発熱時に熱性けいれんを伴うことがあること、口腔内の疼痛のため不機嫌、拒食、哺乳障害、それによる脱水症を呈することなどがありますが、そのほとんどは予後良好です。
起因ウイルスはエンテロウイルスであるコクサッキーA群(CA)が主な病因であり、その中でもCA4がもっとも多く分離され、CA6、CA10などが続きます。その他のCAあるいはコクサッキーB群、エコーウイルス、単純ヘルペスウイルスなどが分離されたとの報告もあります。感染経路は主に飛沫感染であり、急性期にもっともウイルスが排泄され感染力が強いですが、エンテロウイルス感染であるため、回復後も長期(2-4週)にわたり便からウイルスが検出されることがあります。
病因の大多数がエンテロウイルス感染であることから、多彩なエンテロウイルス感染症の一病型として、無菌性髄膜炎、急性心筋炎などをまれに合併することがありますので、その症状の変化には注意が必要です。また
鑑別診断として、ヘルペスウイルスによる歯肉口内炎(口腔病変は、歯齦・舌に著明)、手足口病(ヘルパンギーナより口腔内前方に水疱疹が見られ、足・口にも水疱疹がある)、アフタ性口内炎(発熱を伴わず、口腔内所見は舌および頬部粘膜に多く見られる)などがあげられます。
2 流行疫学
ヘルパンギーナは毎年5月頃から増加し始め、6-7月にかけてピークがあり8月頃に減少、9-10月にかけて消えていきます。国内での流行は、例年西から東へと推移し、その流行規模には多少の増減はありますがほぼ毎年同様の傾向にある中で、最近では1990、1991(平成2、3)年にもっとも多く見られました。
患者の年齢は4歳以下がほとんどであり、その中でも1歳児がもっとも多く見られます。
3 予防方法
鼻汁、糞便等の排泄物による接触感染、もしくは咳等による飛沫感染により、他人に移るので、人との接触を少なくする、手洗いなど日常的に清潔を保つことが重要となります。
引用(参考)文献